主婦にとっての起業
主婦で、起業を考える方は増えています。それには理由がありますし、いくつかのポイントにさえ気をつければ、その起業が成功する可能性は高いと言えます。
この記事では、「なぜ、起業を意識する主婦が増えているのか」、「主婦が起業する場合に、向いている事業とは」、「主婦が起業する場合には、どのように動き出せば良いのか」といった点について解説します。
※文章を読みやすくする為に「主婦」という言葉を主に用いていますが、この記事の内容は「主夫」の方にも通用する内容です。また、この記事は、「専業主婦」または「専業主婦に近い立場の方」を読者として想定しています。
起業を考える主婦が増えている2つの理由
起業を考える主婦が増えているのには、主に2つの流れがあります。
社員に戻る必要性の低下
ライフイベント(配偶者の転勤、出産、病気療養など)の為に一度は会社を辞めたものの、「いつかは会社員に戻ろう」と考えていた主婦の一部が、「会社員に戻るよりも、起業してしまおう」と考える時代になっています。
これには、「起業するハードルが下がった」という事と、「以前ほど、会社員のメリットが感じられなくなった」という2つの変化が背景にあります。
以前から、「勤務時間」や「勤務場所」など、起業には多くのメリットがありました。しかし、主婦が起業するには様々なハードルがあり、諦めてしまう人が多かったのです。こうした事情が変わり、気軽に起業できるようになりました。
そして、会社の福利厚生の水準が低下したり、経営不振に陥る大企業の事例が多く報道されたりして、「会社員の魅力が以前より無くなった」と感じる主婦の方が増えています。
配偶者のキャリア安定性の低下
また、「働く気がなかった」主婦の一部が、「起業して稼ごう」と考える時代にもなっています。
これは、何かの機会に「企業淘汰のスピードが上がっていること」や「給与制度の変更(主に、年功序列制度の見直し)が相次いでいること」などを知った主婦の方が、「配偶者の収入だけに頼っているのは怖い」と考えるようになった結果であるようです。
お金を稼ぐ方法として、「主婦ジョブ」と呼ばれる働き方を検討される方も多いのですが、真剣に検討した結果、「自分で起業してしまった方が良い」という結論に達する主婦の方も少なくないのです。
主婦の起業が成功する可能性が高い理由
主婦の起業は、その立場の独自性をうまく活用する事が出来れば、高い確率で成功させる事が出来ます。主婦ならではの「強み」を生かす事が起業を成功させる秘訣です。
生活者ニーズの理解
主婦の最大の強みは、「生活者ニーズの理解」です。
世の中に出てくる商品やサービスの中には、生活者から「こんなものが売れるはずがないのに」と感じられてしまうものがあります。これは、商品開発をしている会社員の「感覚がずれている」事に一因があります。
その点、主婦の感覚は「生活者の肌感覚そのもの」です。ですから、主婦の「こういう商品やサービスがあれば、間違いなく売れる」という感覚は正しい事が多いのです。
そして、ニーズを見誤る事がないので、その感覚を活かした起業は失敗しづらいのです。
生活の安定
もう一つの主婦の強みは、「目先の生活が安定している」という事です。
今まで主婦として生活してきている訳ですから、「すぐに起業で稼がないと、生活に困る」という事はないはずです。これは、「起業を成功させる」上では、大きな強みとなります。
会社を辞めて起業した人の場合、「○○までに、○○円を稼がないといけない」といった制約の中で起業する事が少なくありません。こうした場合には、必要以上に大きなリスクを取る必要があったり、起業準備に十分な時間がかけられなかったりします。
そうした制約がなく、「起業を成功させる為に必要なことを、着実に準備する」事ができる主婦の方は、「起業の準備」には向いているのです。
主婦に向いている起業の事業内容と規模
ただし、主婦が起業する内容を検討する上では、「守るべきポイント」があります。主婦の多くは、ビジネスの一線で活躍してきた会社員より専門知識や経験では劣ります。この為、同じやり方では失敗してしまうのです。
成功しやすい事業内容
まず、主婦が成功しやすい事業内容を検討する上では、「これまでの生活の中での感覚から、必ず売れると確信できる商品やサービスを提供する」というコンセプトを貫く事です。
前述の通り、主婦の強みは、そこにあります。ですから、その強みを活かせる事業内容から外れない事です。
もちろん、その事業を展開する上で、「主婦として培ってきた知識や人脈」などを前提とする事に問題はありませんし、ご自身が保有している「資格」を生かす事を検討されても良いでしょう。
ただし、資格については、その「資格の強み」と「主婦の強み」を組み合わせる必要があります。それが出来なければ、同じ資格保有者との競争に負ける可能性が高いでしょう。
※資格を活用した起業については、別途、解説記事を用意しています。
成功しやすい事業規模
主婦が事業を立ち上げる上では、事業規模についても注意が必要です。
主婦の方が起業した場合、これまでとは違う「時間の使い方」が求められます。最初は、「どのくらいの時間を事業に充てられるかわからない」のが普通ですし、「急に忙しくなると、生活に色々と支障が出てしまう」といった問題も発生します。
この為、最初は、「間違いなく事業を運営していける」と確信できるくらいの「小さめの規模」で事業を始め、「問題がないようであれば、徐々に規模を大きくしていく」プランとするのがお勧めです。
もちろん、どうしても最初から大きな規模で事業を展開したい場合には、「作業を楽にする為の仕組みを最初から用意しておく」や「従業員を多めに雇っておく」といった対応方法もあります。しかし、起業の難易度が上がる事は避けられません。
失敗させない為の主婦の起業の進め方
最後になりますが、主婦の方には、「早い段階で、起業の支援を受ける」という事を強くお勧めします。
前述の通り、主婦の方でも起業して成功できる可能性は十分にあります。しかし、「起業する(事業を立ち上げる)」という段階で求められる作業は、かなりビジネスの専門的な領域です。
知識不足を補う為に、セミナーなどに参加されたり、大量の専門書を買って学習しようとされたりする主婦の方もいらっしゃいます。しかし、そういった部分については、「自分の弱点である」と自覚して頂き、専門家に頼る事をお勧めします。
その方が、起業を成功させる為に必要な「貴方にしか出来ない作業」に時間を使う事が出来ます。
起業支援に慣れた専門家であれば、貴方が「どういった事業内容を考えているのか」さえ伝えられれば、貴方が思っている以上に、起業完了までスムーズに導いてくれるはずです。
もし、「事業内容が固まっていない場合」であっても、「事業内容の検討を、相談者と一緒に行う」事に慣れている専門家もいます。安心して相談して下さい。
主婦の起業を成功させるポイント(まとめ)
- 主婦で起業を考える方は増えています。その背景には、「社員に戻る必要性が低下した」「配偶者の収入だけでは不安」と感じる主婦の存在があります。
- 主婦の強みを活かす事が出来れば、高い確率で起業を成功させる事はできます。
- 主婦の起業における強みとは、「生活者ニーズの理解」と「生活の安定」です。
- 一方、主婦が起業する上では、守るべきポイントもあります。それは、「事業内容」や「事業規模」について、会社を退職して起業する人たちと同じ考え方をしない事です(詳細は、本文を参照)。
- 起業の準備段階で求められるスキルは、かなりビジネスの専門的な領域です。そして、主婦の多くは、そういった分野に強くありません。自分で勉強する事も可能ですが、かなりの時間を必要とします。
- 起業成功の為の「本当に大切な準備」に集中する為、早い段階で専門家に相談される事をお勧めします。