• HOME
  • 起業
  • 起業時の事務所はどうすべき?自宅と賃貸など選び方を徹底解説!

起業時の事務所はどうすべき?

起業される方の多くが、「事務所をどうするのか」という点について悩まれます。

事務所については、「自宅で済ませる」「賃貸オフィスを借りる」など様々な選択があります。しかし、ネットで情報収集すると、オフィススペースに関連する業者からの情報発信が多く、事務所の選び方についての正しい情報を見つけるのは困難なようです。

この記事では、純粋な起業支援の立場から、「起業する人が事務所をどのように検討すべきなのか」という点について解説します。

※この記事では、「工場などの特殊な条件を満たした不動産を必要とする場合」や「事務所用の不動産を既にお持ちの場合(購入予定の場合を含む)」を想定した解説は行っておりません。

起業する人が事務所について決める必要のある点

起業を予定している人が事務所について決める必要のある点をまとめると、以下のようになります。

・自宅以外に事務所を借りる必要はあるのか
・自宅以外に事務所を借りるのであれば、どのような種類のオフィススペースを契約するのか
・自宅以外に事務所を借りるのであれば、どのような広さや設備のある賃貸物件を契約するのか

起業時の事務所を考える上でのポイント

起業時の事務所に関する判断において考慮に入れるべきなのは、以下の4つの必要性についてです。

・制度上の必要性
・対外的な必要性
・作業スペースの必要性
・打ち合わせスペースの必要性

以下では、それぞれの必要性について説明します。

制度上の必要性

お住まいの物件や予定されている起業の内容によっては、自宅での開業が難しい場合があります。この為、自宅での開業(外部の事務所を借りない起業)を予定されている場合には、まず、この点を確認すべきです。

特に自宅が区分所有物件(マンションなど)や賃貸物件の場合、管理規約や賃貸契約で事務所利用が禁止されている事が少なくありません。法人の設立予定がある場合には、自宅での開業は特に難しいケースが多いと言えます。

その他にも、許認可が必要となる事業の場合には、定められた条件を満たした事務所が必要となる場合があり、そのような場合も自宅での開業は出来ない事があります(外部の事務所を借りる場合でも、条件を満たしている事の確認が必要です)。

実際に自宅での開業が可能かどうかについては、予定されている事業内容などによっても異なりますので、ご自身で判断できない場合には、事前に専門家に相談される事をお勧めします。

取引上の必要性

制度上は自宅で開業できる場合であっても、実務的な事を検討した結果、「自宅での開業は難しい」という判断になる事もあります。

起業の際に検討する事務所は、原則、事業の本拠地となります。そして、その本拠地の場所は様々な場面で公開される事になります。ですから、自宅の住所をあまり公開したくないという場合には「自宅での開業は難しい」という結論になります。

また、自宅住所の公開自体は問題なくても、その場所に「事業の関係者の立ち入りが好ましくない事情」や「送付物が届くのが困る事情」がある場合にも、通常、「自宅での開業は難しい」という結論になります。

更に、取引先との関係から、外部に本拠地を構える事になる場合もあります。事業開始後には、本拠地の場所は取引相手に伝える事になりますが、この際、本拠地によっては、適切な取引相手だと判断して貰えず、取引に支障をきたしてしまう事があるからです。

ですから、そのような事態が想定される場合にも、「自宅での開業は難しい」という判断をする事があります(また、外部の事務所を借りる場合であっても、事業に支障をきたさない物件を探すことになります)。

自宅が本拠地でも取引上の問題が生じないかどうかはケースバイケースですので、この点についても、気になる点がある方は、事前に専門家に相談される事をお勧めします。

作業スペースの必要性

事業開始後の作業スペースについても考えておくべきです。特に、「複数名で起業される場合」や「従業員を雇用する予定がある場合」には、作業スペースの確保は重要な課題となる事があります。

また、事業によっては、「事務処理を行う為の什器(パソコンや複合機などの機器)」が必要な場合もあるでしょうし、「商品や書類を保管する為のスペース」が必要となる事もあるでしょう。そのようなスペースが自宅で確保できない場合には、外部の事務所を用意する事になります。

事業内容にもよりますが、事業開始後は、「事前に想定していたよりも広いスペースが必要だった」と感じる方が多い事は知っておいて頂きたいと思います(ただし、事務所とは別に外部倉庫を借りたりする事で対応できる場合もあります)。

打ち合わせスペースの必要性

同じく、打ち合わせの為のスペースの必要性についても検討はしておくべきです。

取引先などとの打ち合わせが必要な事業を予定されているのであれば、その為のスペースが必要となる事でしょう。また、「複数名で起業される場合」や「従業員を雇う予定がある場合」には、社内打ち合わせの場所についても考慮はしておくべきです。

もっとも、これらの打ち合わせスペースについては、「事務所内で打ち合わせは行わない」と決めてしまえば、本拠地にスペースがなくても何とかなる場合もあります。昨今であれば、リモート会議で済ませられる事もあるでしょう。

ただし、事務所への立ち入りが求められるケースもありますので、起業した本人以外が全く立ち入れない場所を事務所とするような事はお勧めできません。

さて、ここまで4つの必要性について解説してきましたが、起業時の事務所の検討においては、これらの必要性を踏まえ、まず、「自宅以外に事務所を借りるのか(外部の事務所を借りる必要があるのか)」という点について判断する事になります。

そして、「外部に事務所を借りる必要がある」と判断した場合には、次に、「どのような種類のオフィススペースを契約すべきなのか」という点についての検討も行う事になります。

オフィススペースの種類

オフィススペースの種類としては、次の4つがあります。

・自宅(知人宅を含む)
・賃貸オフィス
・レンタルオフィス
・特殊なオフィス契約(コワーキングスペース・シェアオフィス・バーチャルオフィスなど)

以下では、それぞれの特徴について簡単に説明していきます。

自宅(知人宅を含む)

事業の本拠地を自宅とするパターンです。

生活インフラは既に整っているでしょうし、新規に費用も発生しません。また、起業する人にとっては利便性も高い事でしょう。

このようにメリットの多い自宅での起業ですが、残念ながら、デメリットも多いと言えます。

自宅で開業する際に注意すべき点については前述の通りですが、まず、自宅の属性(マンションなのか一軒家なのか、所有なのか賃貸なのか)によっては、事務所利用が認められていない事があります。また、「プライバシーの点で問題ないか」「外部の人の立ち入りが可能かどうか」「事業の前提となる許認可の関係で問題ないか」「事業の信用性の点で問題ないか」など様々な点を確認する必要があります。

この為、自宅を本拠地とした起業の難易度は、実は高いと言えます。

なお、自宅を本拠地として起業する前提で起業計画を進め、後から方針転換を迫られる方は多いので、もし、自宅を本拠地として一定規模以上の起業をされる場合には、事前に専門家に相談される事をお勧めします。

賃貸オフィス

事務所用のスペースを新規に借り、そこを本拠地として起業するパターンです。

この場合、適切な立地・スペックの賃貸オフィスさえ用意できれば、事業運営上の問題が発生する事は考えられません。

ただし、毎月の家賃のほか、入居時には様々な費用が発生します。また、什器の用意も必要となりますし、インフラ関係の契約も必要となります。この為、様々な手間がかかります。

なお、事業用の物件探しや契約の難易度は、住居用よりも高いと理解しておく事をお勧めします。

レンタルオフィス

賃貸オフィスの一種とも考えられますが、入居後すぐに作業が開始できるような状態で貸し出されるオフィススペースを、通常の賃貸オフィスとは区別してレンタルオフィスと呼びます。

レンタルオフィスは、通常、入居者向けに最低限のインフラが既に整えられており、入居者の共用設備として事務機器などが用意されている物件も少なくありません。

また、比較的狭いスペースから借りられるように用意されているケースが多く、入居にあたっての権利金や退去時の費用なども低額に設定されている事が多いという特徴もあります。

長期入居する場合には、通常の賃貸オフィスよりも割高になる事は多いのですが、通常の賃貸オフィスを借りるよりも手軽に事務所が用意できるメリットはあります。

また、「通常は起業時に賃貸オフィスとして借りる事が困難な場所に事務所を構えられる」というメリットがある場合もあります。

ただし、レンタルオフィスによっては、法人登記(法人の本拠地とする事)を認めていない場合や、追加料金が必要となる場合があります。この為、法人を設立する予定の場合には注意するようにして下さい。

特殊なオフィス契約(コワーキングスペース・シェアオフィス・バーチャルオフィスなど)

その他にも、オフィススペースに関連する契約としては、「コワーキングスペース」「シェアオフィス」「バーチャルオフィス」などが存在します。

これらのオフィススペースに関する契約は、通常の事務所に関する契約とは異なるものです。しかし、起業される方の中には、これらの契約のみで起業される方もいらっしゃいます。

まず、コワーキングスペースやシェアオフィスにおいては、通常、自分達だけのスペースは用意されておらず、他社とスペースを共有する事になります。この為、セキュリティ対策や事業に必要なモノを常設するという観点では、問題のある事務所形態となります。

単なる「作業の場所」として契約されるのであれば良いのですが、これらの契約のみで起業して問題ないかどうかは、予定されている事業の内容によって結論が異なります(前述の自宅で開業される場合の注意点に関する記載も参考にして下さい)。

また、バーチャルオフィスに関しては、対外的に提示する住所を借りられるだけで、スペースを使う権利すら原則としてありません(詳細は契約によります)。

単に「名刺に載せる住所が欲しい」や「郵便物を受け取れる住所が欲しい」といった場合には良いのですが(それすらも出来ない契約もあります)、事業の本拠地として契約する場合には、通常、多くの問題を抱える事になります。

いずれにせよ、これらの契約は物件毎(契約毎)に詳細が異なります。また、事業の本拠地として問題がないかどうかは、予定されている事業によって異なります。この為、これらの契約のみで起業する事をお考えの場合には、十分に検討した上で契約される事をお勧めします(この場合も、前述の自宅で開業される場合の注意点に関する記載を参考にして下さい)。

事務所の種類ごとのデメリットを補う為の方法

なお、本拠地の事務所が、事業が必要としている事務所に関する要件の全てを満たしている必要は必ずしもありません。

例えば、社内打ち合わせを行うスペースが足りない場合には、「必要な時だけ、外部のミーティングスペース(喫茶店などを含む)を使う」といった方法で対応できる場合もあるでしょう。

また、設備については、「必要な時だけ、専門のビジネスサービスを活用する」や「追加でコワーキングスペースのような契約を追加でしておき、そこにある設備を利用する」などの方法での対応も検討できるでしょう。

ですから、事務所について検討されている方は、「自分の事業によって、最低限、本拠地として用意する事務所が満たしていないといけない要件は何か」という点を、まず、しっかりと見極める事が大切です。

事務所の選び方が難しい理由と対策

起業時の事務所について考慮すべき点については、ここまで説明してきた通りです。

しかし、ここまで説明してきた内容を理解された後であっても、起業される方の多くが事務所についての結論を出せずに悩まれます。

なぜならば、事務所についての検討を行う際には、事業開始後の事を具体的に想定する必要がある訳ですが、起業経験がない方が、そのような事を想定するのは極めて困難だからです。

また、事務所選びに関する作業の多くは、多くの方にとって、これまで経験した事のない作業となります。この為、「どのように物件を探せば良いのか」や「どの物件が良いのか判断できない」などの点でも悩まれる方も多いのです。

悩まれた場合には、専門家に相談される事もご検討下さい。可能であれば、単に起業手順について詳しい専門家ではなく、起業後の事業運営に実際に携わった経験の多い専門家に相談されるのがお勧めです(当社でも相談をお受けしています)。

関連記事一覧