起業の仕方
この記事では、起業する事を考え始めた貴方の、「どうすれば、起業する事が出来るのか」、「起業する為には、何から始めれば良いのか」といった疑問に答えます。また、貴方自身で「自分のやるべき事」を判断し、作業を始められるようになる為の解説を行います。
なお、「起業の仕方」というと、具体的な会社設立の方法などを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、この記事では、そういった内容は扱いません。
その理由は、起業を考え始めた貴方には、そういった事務的・技術的な作業を進める前に、もっと大切な準備作業があるからです。
そして、そういった作業が不十分だと、貴方の起業が成功する可能性は極めて低くなります。ですから、この記事では、右も左も解らない貴方が、本当に最初に考えるべき事から説明を始めます。
この記事を読んで、失敗しない起業の為の準備を始めて下さい。
目次[隠す/開く]
起業の仕方が人によって異なる理由
実は、起業の仕方は人によって異なります。
その理由は2つあります。1つは、「貴方が起業する理由」から来るものです。貴方が「どういった目的で起業しようとしているのか」によって、準備すべき内容は大きく異なります。
もう1つは、「貴方の能力」によるものです。経営の知識が全くない人が起業しようとするのと、起業について知識がある人が起業しようとするのでは、求められる作業は異なります。
これらの違いを無視して、起業の仕方が1つしかないような説明をする事は出来ません。この記事では、「貴方がどんな状態であったとしても対応出来る、起業の仕方」を説明します。貴方自身で「自分がどういう起業をしようとしているのか」という事を判断しながら、順番に読み進めて下さい。
起業理由に合わせた事業内容に関する準備(ステップ1)
起業の仕方が解らない貴方が、「最初に取り組むべき作業」は、「自分が立ち上げる事業の内容について考える」という作業です。
この段階で、貴方が考えるべき内容については、この後、詳しく説明します。
しかし、これだけは覚えておいて下さい。この段階での「考える」という作業を軽く考えていたが故に、起業後に後悔する人は本当に多いのです。
なお、この段階で行うべき作業は、「貴方のタイプ」によって異なります。ですから、最初に貴方のタイプを見極め、その上で、作業に入っていく事になります。この後からは、具体的な作業の内容に入っていきます。
自分の起業する理由を把握(ステップ1-1)
人には起業したい理由が2種類ある
起業の仕方が解らない貴方が、最初に取り組むべき作業は、「自分が起業する理由を、はっきりと認識する」という事です。
人が起業する理由には大きく分けて2つのケースがあります。
1つは、何か「この世界に生み出したい事業」や「この世界で実現させたい事」が決まっているケースです。そして、そういったものが現実にはないからこそ、「自分が起業しよう」と考えている場合です。すなわち、「やりたい事が既に明確になっている」ケースです。
もう1つは、やりたい事が特にあるわけではないが、「起業したい」または「起業しないといけない」ケースです。
この2つでは、この後、作業すべき内容が異なります。ですので、自分がどちらのタイプなのかを、まず、はっきりとさせる必要があります。
起業する理由タイプごとの作業内容
「起業して何をやるのか?」という事が未だ固まっていない貴方は、「起業する事自体が目的である」と言えるでしょう。この場合、「起業して、どんな事業をするのか」という事を検討する作業が、最初の作業となります。
しかし、既に「起業の目的」が明確になっている貴方には、もちろん、その作業は必要ありません。その代わりに、貴方の目的を確実に達成する為の土台固めが大事になります。
起業の目的が明確になっている方からは、「深く考えず、まず、事業を立ち上げてしまえば良いのではないか」という意見も聞きます。しかし、理由は後で述べますが、ここで少し立ち止まり、土台固めをする事は大切なのです。
次からは、それぞれのケース別の「行うべき作業」を見ていきます。自分の起業がどちらなのか(起業の目的が明確なのかどうか)を判断してから、該当するステップに進んで下さい。
貴方が「やりたい事が特にあるわけではない」タイプなのであれば、ステップ1-2へ、貴方が「やりたい事が既に明確になっている」タイプなのであれば、ステップ1-3へ進んで下さい。
起業が目的である場合の作業(ステップ1-2)
起業する事が目的である場合に、まずやるべき事
ここでは、起業する事が目的である貴方が、最初にやるべき事について解説をします(既に起業する内容が決まっている場合には、この説明は読み飛ばして頂き、ステップ1-3に進んで下さい)。
前述の通り、起業する事が目的である場合、まず、「どういった事業内容で起業するのか」という事を考えなければなりません。
その手順はこれから説明しますが、その前に、覚えておいて欲しい事があります。
事業内容ありきで起業を始めた人と比べた場合、貴方には、「始める事業を冷静に判断できる」という強みがあります。ですから、適切な事業内容を選び、適切な準備を行えば、起業を成功させられる可能性は非常に高いと言えます。
その一方、何か「実現させたい事」があって起業をスタートさせた訳ではないので、「事業成功への執着」は弱くなる傾向があります。ですので、今の段階で、「自分がどうしても起業をやり遂げなければならない理由」を見つけたり、「起業の成功」を強く意識する習慣をつけておいたりする事をお勧めします。
起業する内容を固める為の2つのアプローチ
事業内容をこれから考える貴方が、貴方にあった事業内容を決める為の方法には、大きく分けて2つのアプローチがあります。この後で説明しますが、簡潔に言ってしまえば、「自己分析」と「市場調査」です。
この2つを行い、その結果を組み合わせる事で事業内容を固めるのが確実です。2つのうち片方だけで事業内容を決めても構わないのですが、より確実な選択を行う為に、両方を行う事をお勧めします。
自己分析を行う(ステップ1-2-1)
起業する事業内容を決める為の1つ目のアプローチは、自分を分析する事です。すなわち、「自分の強み」や「自分が出来そうな事」を見つける事です。
自分の経歴(勉強してきた事、社会人経験)や趣味などを洗い出し、「自分が得意とする分野」を見つけて下さい。「どの分野であれば、自分は熱意を持って事業を続けられるのか」という視点での検討も有効です。今は得意とまでは言えない分野でも、無理なく続けられる分野であれば、成功出来る可能性は十分あります。「好きこそ物の上手なれ」という言葉は、起業においても有効です。
なお、この段階では、事業の候補を1つに絞る必要はありません。出来る限り多く、また、具体的に書き出してみる事をお勧めします。多くの分野が候補として出てきた場合には、順位付けくらいはしておいても良いでしょう。
自分が儲けられると思える事業を探す(ステップ1-2-2)
起業する事業内容を決める2つ目のアプローチは、市場を調査する事です。すなわち、「儲かる事業はなにか」という事を冷静に調べる作業です。
とは言っても、そんなに難しく考える必要はありません。「これから儲りそうな業界や会社」を、自分なりのやり方で探してみれば良いのです。そこから、「これから儲かる事業は何だろうか」という事を考えてみて下さい。
専門的に言えば、この作業には様々な調査方法があります。しかし、貴方は、貴方なりの方法を考えて行って下さい。なぜならば、貴方が自分なりの方法で探して見つけた「儲かりそうな事業」こそが、貴方にとって関心が持てる事業であるケースが多い為です。
これについても、出来る限り多くの候補を具体的に書き出して下さい。
起業する事業を決める(ステップ1-2-3)
さて、2つのアプローチからの作業が終わった貴方の手元には、「自分が得意とする事業分野」と「貴方が儲かると思う事業分野」の2つのリストがあるはずです。
貴方が起業して成功出来る可能性が高い事業分野は、その2つのリストに共通して載っている事業です。もし、2つを見比べて共通する事業がすぐに見つかった場合、貴方は幸運です。それを貴方が起業する事業にしてしまえば良いのです。
しかし、残念ながら、一目見ただけでは、共通の項目が見つからない場合の方が多いでしょう。そういった場合には、どちらかの候補を微調整(見方を変えたり、範囲を広げてみたり)して、共通する事業として成立させられないかを検討してみて下さい。
ただし、この作業は、こういった作業に慣れていない人にとっては少し難しいでしょう。ですので、うまくいかない場合には、この部分は、慣れている人に手伝って貰う事も検討してみて下さい。
そして、貴方が起業する事業の内容が固まったら、次のステップ(ステップ2)に進んで下さい。この記事では、この後から少し、最初から起業する目的が固まっていた人の為の説明がありますが、その部分は読み飛ばして貰って大丈夫です。
起業目的が明確な場合の作業(ステップ1-3)
起業において自分が譲れない部分を固めておく(ステップ1-3-1)
この項目は、「起業の目的が最初から明確になっていた」貴方への説明です。ここまでの説明で事業目的を固める作業を行った方は、このステップは読み飛ばして下さって大丈夫です。
起業で実現させたい事が既に決まっている貴方は、すぐにでも起業準備を始められるはずです。
ですが、その前に、1点だけ、この段階で検討しておいて頂きたい内容があります。それが、「起業する事業において、自分が譲れない部分を固めておく」という作業です。
その作業が必要な理由は簡単です。貴方には、事業内容のイメージがある事でしょう。しかし、ここから先、具体的に起業計画を進めていく中で、「その全てを実現させるのは難しい」という状況に直面する可能性があるのです。
そういった状況になった時に、後から後悔しない判断をする為に、「自分が実現させたかった事の優先順位」を今のうちに固めておいて欲しいのです。
今は、その必要性が理解出来ないかもしれません。しかし、判断を迫られた時には、それを冷静に判断したり、思い出したりする事が出来なくなるものなのです。ですから、今のうちにそれを検討し、出来れば、自分がいつでも見られる場所に書き留めておいて下さい。
それが出来たら、次のステップ2に進んで下さい。
自分に不足している能力に関する準備(ステップ2)
事業内容が固まった貴方が次に行うべき事は、「自分の知識や経験が足りない分野」を見つけ、「自分の能力が足りないそれぞれの分野について、何らかの方法で補っていく」という作業です。
厳しいようですが、起業するという事は、「ビジネスの世界で生き残っていく事業を立ち上げなければならない」という事です。その為には、それなりの準備が必要です。自分に能力がなく、かつ、無策で事業を立ち上げる事は、泳げない人に「大きな川を泳いで渡って、向こう岸にたどり着け」と言っているようなものです。
起業を成し遂げる為には、自分の実力を見極め、必要に応じて対策を講じる事が必須です。
自分に不足している能力を把握(ステップ2-1)
自分に不足している能力をリストアップする(ステップ2-1-1)
自分に足りない能力を補う為に、最初に行うべき事は、「自分の能力を見極める」という作業です。
自分が起業しようとしている事業を出来る限り具体的に思い浮かべ、その事業を行っていく上で、「自分に足りないもの」を書き出してみて下さい。また、事業開始までの準備についてもイメージして頂き、同じように「自分に足りないもの」を書き出してみて下さい。
逆の言い方をすれば、貴方が書き出した「自分に足りないもの」さえ貴方にあれば、貴方は「事業開始の為の準備を進める」事ができ、そして、「事業を始める」事ができる、と自分で思える状態を目指して下さい。
自分が不足している知識や能力を見極める重要性
ここで大事な事は、自分が「出来ないこと」を「出来ない」、自分が「解らないもの」を「解らない」と自覚する事です。それを誤魔化す必要はありません。解らないものや出来ないことについては、これから対策をすれば良いだけの事です。起業の失敗は、対策しなければならない事を気付かずに、起業の準備を進めていってしまう事によって起きます。
例えば、経営や起業の経験がある人を除いて、細かい起業の手続きについては良く分からない人がほとんどでしょう。それも、「貴方に不足している知識や経験」です。そういった事も、ここで書き出しておきましょう。
なお、「事業を始めた後に、経験を積めば良い」と割り切れる経験や知識については、そう割り切って頂いて構いません。しかし、先ほど書いた通り、事業を開始し、最低限、商売を続けられるだけの状態になる為に必要なものは、起業の準備段階で必要な知識と考えなければなりません。
また、そもそも、「自分に必要な経験や知識を書き出すことも出来ない」という状態に陥ったならば、それも、「(足りないものを書き出す)能力が貴方に足りない」という事です。それも書き出しておきましょう。
自分に不足している能力を補う(ステップ2-2)
起業準備能力を補う為の2つの方向性
自分に能力が不足している分野については、何らかの方法で補う必要があります。繰り返しますが、それに目をつぶって起業準備を進める事は、起業にとって自殺行為ですので、止めて下さい。
そして、能力や経験が不足している場合に、それを補う為には2つの方向性があります。
1つは、「自分自身で能力を身につける」という方向性です。これには、本を読んだり、学校のような所に行って勉強したりすれば済む場合と、時間をかけて経験を積まなければ身に付かない場合があります。
もう1つは、「外部の専門家の力を借りる」という方向性です。ただし、外部の専門家の力を借りるだけでは解決しない問題もありますので、その見極めも大事です。この点については、この後、説明します。
起業準備能力を補う方法を決める(ステップ2-2-1)
次に貴方がやるべき作業は、これまでのステップで挙げた「自分に不足している知識や経験」について、それぞれ、「どうやって補うのか」という事を決めていくことです。
例えば、業界経験が必須な分野で起業しようとしているのであれば、やはり、一定の経験を業界内で積む必要があるでしょう。これは、「貴方自身が経験を積むしかない場合」に相当しますので、自分でやり遂げるしかありません。
すなわち、時間はかかりますが、計画的に経験を積み、その後で起業するという段取りを組むしかありません。今、貴方に求められているのは、起業までの、そうした道程を描き、そして、実行する事です。
しかし、貴方に不足している知識や経験のうち、「知識だけを身につければ済むような分野」については、貴方は、それぞれの分野について、「自分で学習する」のか「専門家に頼る」のかを判断する事になります。
なお、立ち上げる予定の事業について十分な経験があり、かつ、起業や経営にも詳しい人で無い限り、ほとんどの人は、ある程度の部分について「専門家に頼る」という選択をして、起業準備を進める事になります。
ですから、この作業は、「どの分野を自分で経験を積むのか」「どの分野を自分で学習するのか」「どの分野を専門家に頼むのか」という判断をしていく作業である、とも言えます。
専門家の活用によるメリット
ここで、改めて、「専門家を活用して、自分に不足している分野を補うメリット」について確認しておきましょう。
例えば、起業の準備においては、「法律」や「経営」に関する専門知識が求められますが、これらは、必ずしも貴方が身に着けなければならない知識ではありません。最低限の事さえ理解出来れば、後は、専門家に頼る事は可能ですし、実際、多くの人はその道を選びます。
同じように、その他の分野についても、それぞれの分野の専門家に依頼する事で、「自分自身でやらなければならない作業の量」は大幅に削減されます。
また、そもそも、「自分に何が足りないのかが解らない」といったケースや、専門家に頼りたいけれども、「誰に頼れば良いのかが分からない」といった場合には、細かい特定分野の専門家ではなく、「起業作業自体を専門としている専門家」に相談する事で、その問題を解決する事が出来るでしょう。
自分に足りない分野を補う(ステップ2-2-2)
自分に足りない分野について補う方法が決まれば、次は実行です。
自分で補うと決めた場合には、その為の勉強や経験を積む為の行動を開始して下さい。専門家に相談すると決めた場合には、相談する相手を具体的に検討し、相談を始めて下さい。
もっとも、このステップについては、次のステップを行いながら、このステップを終わらせる段取りにした方が良いケースもあります。次のステップの作業と同時に行う事で、より適切な学習や相談が出来るケースも少なくないでしょう。
ただし、貴方が「自分に足りないものが良く解らない」という状態なのであれば、その状態を放置して次のステップに進むべきではありません。その点を解決せずに、これ以上、作業を進めていく事は困難だからです。一刻も早く誰かに相談する事で、起業の準備を前に進めるべきです。
これに対して、「起業のかなり具体的な作業について不明点があるので、専門家に依頼したい」と貴方が考えているのであれば、もう少し起業の準備が進んでから相談しても良いでしょう。この場合、この時点では、「専門家に、その作業を依頼する」という事さえ決めておけば良いでしょう。
もちろん、専門家に相談する事で解決する問題なのかどうかが不安な点については、早めに相談だけはしておいても良いでしょう。多くの専門家は、「こんな事を頼めば、私が不安に思っている事は解決出来ますか?」といった相談には、気軽に、また、無料で回答してくれるものです。
起業計画の具体化(ステップ3)
事業内容について十分に考え、そして、その事業を準備・運営する為の能力について検討を終えた貴方が、次に行うべき内容は、「起業する計画を具体的に練る」という作業です。
具体的には、「事業計画書」と「スケジュール」を準備する事になります。
起業を「芸術作品を造り上げる作業」に例えてみましょう。貴方は、ここまでの作業で、「作品の完成イメージを明確にする」という事と、「作品作りの為の材料や工具を用意する」という段階を終えました(一部は、未だ実行中かもしれません)。
簡単な作品作りであれば、このまま作り始めてしまっても良いかもしれません。しかし、残念ながら、起業は簡単な作業ではありません。設計図を用意してから作り始めないと、途中で作成方法が解らなくなってしまったりして、途方にくれてしまう事になる危険性があるのです。
事業計画書の作成(ステップ3-1)
作成すべき事業計画書とは
前述の通り、次のステップは、「事業計画書の作成」です。
事業計画書の作成という作業を言い換えれば、「自分が開始しようとしている事業を、言葉と数字でまとめる」という作業になります。
事業計画書の書き方についての細かい事については、この記事では省略します。しかし、「事業計画書」という言葉に馴染みがなければ、「経営計画」でも「事業の概要」でも構いません。とにかく、自分が起業しようとしている事業を貴方なりに表現してみて下さい。
ただし、それを読んだ人が、「貴方の事業が、どういうものであるかを理解出来ること」、そして、「その事業が問題なくやっていけそうだ」という印象を持てるだけのものにして下さい。
その為には、「貴方の事業が儲かる理由」や「貴方の事業が抱えているリスク」などを明確にする必要があります。良い所だけではなく、「悪い所」についても貴方が理解し、その上で、事業が成功する予測が出来ている事が大切な事なのです。
事業計画書に盛り込むべき内容とは
なお、「どんな内容を事業計画書に盛り込むか」という事は、本来、貴方自身が決めるべき事です。なぜならば、事業計画書は「貴方自身が、事業に関して何を検討してきたか」という事を表すものだからです。ですから、書くべき内容は、起業しようとしている人によって異なって当然なのです。
とは言え、前述のような目的を果たす為に、「最低限、盛り込むべき内容」がある事は確かです。また、それを読んだ人にとって「理解しやすい章立て」にする事にも気を付けた方が良いでしょう。ですから、完成させる前には、関連書籍を一読して頂くか、この記事シリーズの関連記事を探し、参考にするようにはして下さい。
※当記事シリーズで関連記事が見つからない場合には、お問い合わせ下さい。こちらの事情で、公開を止めている可能性があります。
事業計画書の完成に必要な外部の視点
そして、事業計画書が完成したならば、事業計画や経営計画を読み慣れている人に見て貰って下さい。これは、貴方の事業計画が甘すぎないか確認して貰う為です。
残念ながら、起業しようとしている本人だけで事業計画をチェックする事は、ほぼ不可能です。想像して頂ければ、理解して頂けると思いますが、自分で作成した計画を自分でチェックしても、「そのチェックは甘くなりがち」だからです。ですので、他の事は全て自分で行ったとしても、このチェックだけは、外部の専門家を頼る事を強くお勧めします。
なお、「外部の」専門家、と書いているのには理由があります。それは、この作業においては、専門性と共に、「貴方に厳しい意見を言える」という事が大事だからです。仮に専門性が十分でも、仲の良い友達では、貴方に厳しい事は言い辛いでしょう。結果、貴方が適切なアドバイスを受けられない可能性があるのです。
また、事業計画書の作成が途中で頓挫した場合ですが、その場合も、専門家に相談する事をお勧めします。せっかく、事業内容を固め、ここまで検討を進めてきたのです。起業を進める為に、少し、誰かに助けて貰っても良いのではないでしょうか。
起業スケジュールの作成(ステップ3-2)
事業計画書が完成した貴方は、もう自分の事業が明確に見えている事でしょう。次のステップは、その事業を実現させる為のスケジュール作りです。
別に綺麗なスケジュール表を作る必要はありません。やらなければならない事を全て書き出し、それらの作業の前後関係(どの作業から順番に作業する必要があるのか)を整理すれば大丈夫です。可能であれば、それぞれの作業を実行する日付や期間(期限)も入れるようにして下さい。
なお、この作成するスケジュールに書き込まれる事になる期間は、どのような準備が必要かによって大きく異なります。数ヶ月で終わるスケジュールになる人もいるでしょうし、数年単位の計画になる人もいるでしょう。
また、会社の設立などの特殊な作業も多く出てくるでしょうから、起業の準備を全て自分一人で勉強する覚悟をした人以外は、そういった部分の段取りについては、起業の作業を一通り知っている専門家に協力を求める事をお勧めします。
起業準備の実行(ステップ4)
ここまでで、基本的な準備は終了です。
貴方の手元にある事業計画書には、貴方が実現させる事業の内容が記載されており、また、それを実現させる為のスケジュールも用意されているはずです。
あとは、そのスケジュールに沿って、準備を進めていくだけです。
起業は、貴方にとって、もう遠い目標ではなくなっている事でしょう。
作業を進める上での注意点
前半の作業が詰まった場合の対応
長い説明も、ほぼ終わりです。説明を終えるにあたり、繰り返しになる部分もありますが、大事な事なので、「作業がうまく進められなくなった場合」の注意点について、改めてお伝えします。
まず、この記事で紹介したステップの前半で、「事業内容が決められない」または「事業内容の優先順位が決められない」といった状況に陥った場合、こうした作業に慣れている人に相談する事で、問題は簡単に解決するケースが多いでしょう。
悩む事も大事ですので、自分で四苦八苦してみるのも良いですが、ここは誰かにアドバイスを受けながら作業する事も検討してみて下さい。その後の作業で、もっと自分自身で時間をかけて考えるべき作業は多くあります。
ただし、こうしたポイントで作業が進まなくなった場合、貴方自身も「相談してみようかな」と思うでしょうし、あまり専門家への相談の必要性を強調する必要はないでしょう。
後半の作業が詰まった場合の対応
問題は、後半の作業が順調に進まなくなった場合です。
特に、事業計画を詰める作業については、既に事業内容自体の大枠は固まっている為、作業が難航しても、「そのまま起業準備を進めてしまおう」と考えてしまう方が多いのです。
しかし、「事業計画書がうまく書けない」や「事業計画を書いてみたが自信がない」と貴方が感じた時には、絶対に、そのまま起業準備を進めないで下さい。そのまま進めても、かなり高い確率で、貴方の起業は失敗します。
貴方が「貴方自身で自信が持てる事業計画書を書けない」という事は、未だ、クリアしなければならない問題点が残っているという事です。そして、それを確認する事も、事業計画書を作成する目的の一つだと認識して下さい。
また、前述の通りですが、自分なりに完成させた事業計画書であっても、一人で作った計画は甘くなりがちです。特に、「想定すべきリスク」が抜けている事は珍しくありません。起業してから後悔しないよう、慣れている人のチェックを必ず受けるようにして下さい。
起業に失敗した人は、本当はこの段階で立ち止まるべきなのに、焦って次のステップに進んでしまった人が多いのです。貴方は、絶対に、そうした失敗をしないようにして下さい。
なお、スケジュールの立案についても、同じような事が言えます。貴方が「スケジュールに自信が持てない」と感じた時には、ほとんどの場合、何か先に解決しなければならない問題点が隠れています。
起業の仕方についての重要ポイント(まとめ)
- 起業の仕方は、「起業する理由」や「貴方の現在の能力」によって異なります。それらを見極めた上で、正しい手順で起業の準備を進めましょう。
- 起業する事業内容が決まっていない場合は、「自己分析」と「市場調査」によって事業を決める事が出来ます。
- 起業する事業内容が決まっている場合でも、自分が起業で実現させたい内容に優先度を付けておきましょう。
- 起業に必要な能力が自分に足りない場合には、それを補う方法を考えましょう。そして、補う為の計画を立てて実行しましょう。
- ここまで終わったら、あとは「事業計画書」と「スケジュール」の作成です。専門的な知識がないと苦労する部分もあるので、外部の専門家の活用も検討して下さい。
- 特に、事業計画書は大事です。一人で十分なチェックを行う事は不可能に近いので、チェックだけでも、外部の人に頼むようにして下さい。
- あとは起業の準備を実行するだけです。もう、起業の仕方で悩む段階は卒業している事でしょう。