公務員の起業
この記事では、「公務員が起業する際に気をつけるべき点は何か」や「公務員が起業を成功させる為の方法」について解説します。
最初に結論を申し上げておきますと、公務員でも起業を成功させる事は可能です。
ただし、ほとんどの公務員には、「起業に向いていない点」があります。ですから、その点に対応しない限り、「公務員が起業を成功させるのは難しい」とお考え下さい。良く、「公務員は起業に向いていない」と言われるのは、この為です。
勿論、この記事では、それらの点への対応方法についても解説します。
※この記事は、公務員を辞めて起業する方を主な読者として想定しています。公務員の立場を維持したまま起業する場合には、当社の副業に関する記事も併せてお読み下さい。
公務員が起業するメリットとデメリット
最初にお断りしておかなければなりませんが、正直に申し上げて、「公務員という立場に満足している方」に、起業はお勧め出来ません。
公務員が起業した場合、環境は大きく変化します。仕事で求められるものも変わりますし、人間関係も変わる事になるでしょう。現状の「公務員だからこそ得られている満足度」を維持しながら起業する事は難しいと考えて下さい。この点は、公務員が起業する場合のデメリットと言えるでしょう。
しかし、この点は、「自分は公務員に合っていない」と感じている方にとってはメリットとなります。起業する事で、貴方のストレスは解消される可能性が十分にあります。「公務員としては活かせていない貴方の能力」が起業に役立つ場合もあります。
公務員が起業に向いていない理由
公務員も他の社会人と変わらない「一人の人間」です。しかし、一般的には、「公務員は起業に向いていない」と言われています。それは、公務員の多くが、次の3つの問題を抱えているケースが多い為です。
公務員が起業に向いていないと言われるのは、
- 「考え方」が、営利事業で求められるものから乖離している事が多い
- 「性格」が、リスクを取った事業に向いていない場合が多い
- 「周囲」が、起業を応援してくれない事が多い
という理由によるものです。
考え方がずれている
昔から、「公務員の人の考え方(感覚)は、民間とは乖離している(ずれている)」という事は言われ続けています。
同じ「職場」であっても、「収入源が法律などで守られている職場」と「自分自身で競争に打ち勝って収入を得なければならない職場」では、求められる「考え方」が大きく異なります。
ここで一つ一つ解説はしませんが、「公務員としては当たり前の考え方」であっても、「民間では通用しない考え方」というものは多いのです。これを直さない限り、民間で成功する事は出来ません。
※NPOやNGOのような非営利団体であっても、営利企業と同じような考え方が求められる団体は多いと考えて下さい。これは、「収入が保証されていない団体の基本は、営利団体と同じ」だからです。
性格が向いていない
公務員の人には、ある程度共通する「性格の特徴」があります。
一般的には、その性格の特徴は、「保守的」「堅実」といった言葉で表現されます。そして、「自分の責任でリスクを取る」という事を恐れる傾向にあると言われています(これは、前述の「考え方」に通ずる所もあります)。
しかし、民間の事業においては、「リスクをとって勝負をする」という決断が求められる事が少なくありません。性格的に向いていない事を成功させるのは、容易な事ではありません。
周囲の理解が得られない
公務員の周りには「公務員と合う人(公務員を高く評価する人)」が集まっている事が一般的です。ですから、貴方の周囲が、貴方の「公務員を辞める」という決断を前向きに評価してくれるとは限りません。
もっとも、貴方がしっかりと説明すれば、周囲の多くは貴方の起業を応援してくれるようになるはずです。
ただし、中には、「公務員」という立場に盲目的にこだわる人もいます。
もし、貴方の配偶者(その他、人生の大切な人)が、そのようなタイプの人であった場合、貴方はその人に納得して貰うのを諦めるか、貴方が起業を諦めるか、の二択を迫られる事になります。
公務員が起業を成功させる為にやるべき事
公務員が起業を成功させる為には、「(公務員特有の)起業に向いていない点」について対応する事が大切です。
性格に合った事業計画
前述の通り、多くの公務員の「性格」は「保守的」で「堅実」です。そして、このような性格は、「大きなリスクを取った事業の立ち上げ」には向いていません。この為、公務員以外の人と同じような考え方で事業を立ち上げても、うまくいかない事があるのです。
しかし、「自分の性格を変えないといけない」とは考えない方が良いでしょう。性格は、そんなに簡単に変えられるものではありません。
それよりも、貴方が行うべきなのは、「自分に合った事業計画で起業する」という方針を定め、それを徹底する事です(貴方が起業したいと考えている事業の内容に関わらず、そのような工夫をする事は可能です)。それによって、この問題は解決できます。
なお、そのような方針で進めている事を説明する事で、周囲の理解も得やすくなります。
事業に相応しい考え方
また、多くの公務員は、「公務員としての考え方」に染まってしまっています。これは、「公務員としての仕事」を頑張ってきた以上、仕方がない事です。
しかし、貴方の考え方が起業に向いていない場合、様々な判断を適切に行う事が出来ません。具体的には、「経営判断の時に重要視すべき点(優先度)」や「利益確保の為に注意すべき点」といったポイントを間違えてしまうのです。
ですから、「貴方自身の考え方が、民間に向いているのかどうか」を把握するのは極めて大切な事なのです。
しかし、「(貴方の考え方が)民間に向いているかどうか」を自分自身で判断するのは、ほぼ不可能と言って良いでしょう。「自分では大丈夫」と思っていても、実際には、「公務員としての考え方に染まっている」ケースは多いのです。
この問題に対応する為には、「民間企業で求められる感覚が分かっている人」で、かつ、「自分に厳しい事を言ってくれる人」に真剣にアドバイスをして貰い、その上で、自分の考え方を修正する必要があります。
公務員の弱点に対応した起業
ここまで、公務員の起業特有の問題点について紹介し、また、それらの問題点に対応する方法についても解説してきました。
しかし、この記事で解説してきた「問題点への対応」は、貴方にとって簡単に実行できるものばかりとは限りません。ですから、起業を成功させる為に、「事業運営の事を良く理解している専門家に支援して貰う」という対策も検討する事をお勧めします。
やはり、専門のサービスは支援が充実しており、短期間で準備を整える事が可能となります。
例えば、「(公務員の起業に対応している)ある起業支援サービス」では、公務員の方から相談を受けた場合、起業に関する様々な話し合いをする中で、「その相談者の考え方や性格が、民間の経営に向いているかどうか」をチェックする仕組みになっています。
そして、その後、相談者と一緒に事業計画を検討する中で、相談者の「民間企業には向いていない所」を指摘し、更に、事業開始後にも経営判断を定期的に手伝う事で、実際の事業運営において問題が起きないように支援しています。
公務員特有の「起業に向いていない部分」に対応する事さえ出来れば、公務員が起業を成功させる事は十分に可能です。