起業・創業・開業・設立などの用語の意味と使い分け方

この記事では、「起業」「創業」「開業」といった用語の「意味」や「使い分け方」について解説します。また、少し意味合いの違う用語ですが、関連する用語である「設立」や「創立」「創設」「創建」についても後半で説明します。

起業に関する用語の使い分けについての基本

起業に関連する用語として、「創業」「開業」があり、これらの単語の意味について質問を受けることがあります。

恐らく、「用語を間違えて恥をかきたくない」、「言葉を間違えて使って、違う意味になったら困る」といった考えから質問されているのだと思います。

しかし、起業相談を受ける立場から申し上げますと、「こうした用語については、あまり使い分けを意識して頂く必要はありません」、という事が結論となります。

この後、詳しい意味は解説しますが、意味合いとしては共通の部分が大きいからです。強いていうならば、起業の「どういう部分を強調しているか」といったスタンスによって、使うべき用語が変わるだけです。

用語の意味と使い分けに関する覚え方

用語のニュアンスの違いについては、次のように覚えて頂ければ良いでしょう。

創業

創業の「創」は、「創める(はじめる)」の「創」。
ですから、「営業や事業をはじめる」という意味合いを強調した用語。
そして、通常、事業をスタートした「時点」は明確に把握出来る為、「創業○年」のように、「事業を始めてから、どのくらい経過しているか」といった概念が重要な時には、この用語が使われる事が多いです。

開業

開業の「開」は、「開く(ひらく)」の「開」。
ですから、「開く」という言葉が相応しい事業である事を強調した用語。
具体的には、「お店を開く」「事務所を開く」など。特に決まりはありませんが、一般消費者・生活者向けの拠点を開くケースで良く使われます。また、会社組織ではなく、個人事業の場合に好んで使われる傾向があります。それ以外は、創業と同じように使う事が出来ます。

起業

起業の「起」は、「起こす(おこす)」の「起」。
ですから、「事業を新しく起こす」という事を強調した用語。
事業や営業を「始めた辞典」という意味合いが弱い為、比較的、広い範囲を指す言葉として使う事ができます。例えば、事業の開始前後の期間を含めて使われる事があります。

用語の使い分けで悩んだ場合のお勧め

もし、これらの用語の使い分けに悩むようなことがあれば、「起業」を使う事をお勧めします。細かいニュアンスが消えるデメリットはありますが、万能です。

そもそも、前述の通り、これらは使い分けを間違えると大問題になるような用語ではないので、あまり気にしなくても大丈夫です。

もちろん、打ち合わせの相手によっては、用語にこだわりがあるケースもあるでしょう。しかし、そうした場合は、相手から「~という言葉を使って欲しい」と言われるでしょうから、それを聞いてから直せば問題ありません。

用語の使い分けについての注意点

ただし、他の用語と組み合わせて使う場合には、決まり事のようなものがありますので、注意は必要です。

例えば、お祝いを贈る場合に、「開業祝い」は良く聞きますが、「起業祝い」は聞きません。これは、開業が実際に店を開くタイミングである(=お祝いするタイミングとして相応しい)のに対して、起業という用語は指し示す範囲が曖昧である為に、こうした際には使いづらいからでしょう。

同様に、「創業祭」や「開業祭」を行う会社はありますが、「起業祭」を行う会社は少数です。これも、創業や開業が営業を実際に始めたタイミングを指し示す言葉として認知されているのに対して、起業が曖昧な意味合いだからでしょう。

その他、「独立開業」のように、組み合わせが決まっている単語もあります(独立とセットで使われるのは「開業」であって、他の用語が使われる事は稀です)。

関連する用語の定義

その他、似たような状況で使われる、以下のような用語もあります。

設立

事業に関する何かの組織(一般的には会社)が出来ることを指します。
創業と比べると、「創業」が事業を開始さえしていれば、組織がなくても使える用語であるのに対し(個人事業など)、「設立」は組織がないと使えない用語である、という違いがあります。会社組織が一般的ではないほど昔から存在する事業(老舗)の場合、創業と設立の時点は異なる(創業年の方が設立年よりも古い)ことが一般的です。

創立・創設・創建

基本的には、設立と同じで、何らかの組織が出来ることを指します。ただし、最近の用語の使い方としては、一般的な会社に対してはあまり使われません。

国語辞典で確認する用語の定義

実務の経験からの説明は以上なのですが、上記の説明だけでは不安な方の為に、国語辞典での定義も紹介させて頂きます。おおよそ、上記の説明と方向性が一致していることは確認して頂けると思います。

創業

・事業を新しく始めること。(広辞苑 第六版)
・事業を始めること。営業を始めること。(新明解国語辞典 第七版)

開業

・営業をあらたに始めること。みせびらき。(広辞苑 第六版)
・新たに営業や事業を始めること。オープン。(新明解国語辞典 第七版)

起業

・新しく事業を起こすこと。(広辞苑 第六版)
・その人(団体)が今までしなかった事業を新しく始めること。(新明解国語辞典 第七版)

設立

・法人などの組織を新たに作り設けること。「会社を―する」(広辞苑 第六版)
・今まで無かった制度や、会社・団体などの組織を作ること。(新明解国語辞典 第七版)

創立

・初めて設立すること。創設。(広辞苑 第六版)
・〔学校・会社などの組織・団体を〕初めて作ること。(新明解国語辞典 第七版)

創設

・初めて設けること。創立。「大学を―する」(広辞苑 第六版)
・機関・施設などを新たに作ること。(新明解国語辞典 第七版)

創建

・初めて建てること。「護国寺を―する」(広辞苑 第六版)
・建物・組織などを初めて作ること。「江戸時代創建された寺」(新明解国語辞典 第七版)

※敢えて、出版から少し年数が経過している辞書から引用しています。
広辞苑岩波書店の中型国語辞典、新明解国語辞典三省堂の小型国語辞典です。
※複数の意味が掲載されている場合には、該当する候補のみを引用しています。また、例示については、特に有益と思われるもののみを引用しています。

起業・創業・開業・設立といった用語の使い分け(まとめ)

  • 起業、創業、開業の意味は似ている。それほど神経質に使い分ける必要はない。
  • ただし、他の用語とセットで使う場合には、決まりごとのようなものがあるので注意。
  • 設立については、組織が出来た事を指すので、他の用語とは意味合いが少し異なる。この用語については、使い分けが必要。
  • あまり使われないが、創立、創設、創建なども同様に組織に対して使う用語。

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