起業に関する不安
この記事では、「起業したい人が不安に感じている事の正体と対応方法」について解説します。
起業したいと考えていても、失敗したときの事を不安に感じ、起業に踏み切れない人は少なくありません。しかし、実は、恐れる必要のない不安に怯えているだけのケースも多いのです。
不安の正体を明確にするメリット
起業に踏み切れない人が感じている不安は、漠然としたものである事が多いようです。
起業相談を受ける立場から申し上げますと、悩んでいる本人にとっては「失敗した場合の明確なリスク」であっても、良くお話を伺ってみると、「そのリスクが現実になった場合でも、大きな問題にはならない」ケースや、「対策をする事で回避可能なリスクであるにも関わらず、対策については十分に検討されていない」ケースが多いのです。
ですから、不安が邪魔をして起業を躊躇われているのであれば、まず、不安の中身を明確にする事をお勧めします。それによって、リスクを低減させる為の対策を検討する事が可能になります。
漠然とした不安のまま心配していても、先には進めません。そして、それは、非常に勿体ないことです。
起業を考えている人が不安に思っている事の一覧
起業に関する不安については、参考になる調査結果があります。
「失敗したときのリスクが大きい」という理由で「まだ起業していない人」に対して、「どのようなリスクを不安に感じているのか」という事を聞いた調査があるのです。
その結果によると、
- 事業に投下した資金を失うこと
- 借金や個人保証を抱えること
- 安定した収入を失うこと
- 家族に迷惑をかけること
以上4点が、過半数の回答者が挙げたリスクになります。
多くの方が感じている「起業の不安」も、この中に含まれているのではないでしょうか。そして、このデータを精査すると面白い事が解ります。
※日本政策金融公庫総合研究所による「起業と起業意識に関する調査」より(2018年9月調査、2019年1月発表)
起業の先輩から学ぶ解消できる不安とは
データから読み解く不安の解決可能性
実は、このデータからは、「起業が具体的になるにつれて、(それぞれのリスクを)リスクとして考えている人の割合が減少する」という傾向が読み取れるのです。
これは、少し複雑な言い回しになってしまいますが、先ほど挙げた4点のリスクそれぞれについて、「リスクとして挙げている人の割合」を、「いずれは起業したいが、時期は未定」と考えている層と、「10年以内に起業する」と考えている層で比較した結果です。
ただし、この傾向が読み取れるのは、前述の4点のリスクのうち、3点のみです。1点のみは、起業が具体的になっても、リスクとして考える人の割合が減少しませんでした。
解消できるリスクと解消できないリスク
起業が具体的になるにつれて、リスクとして挙げる人の割合が減少している3点は、
- 借金や個人保証を抱えること
- 安定した収入を失うこと
- 家族に迷惑をかけること
でした。
そして、起業が具体的になっても、リスクとして挙げる人の割合が減少しなかった1点は、
- 事業に投下した資金を失うこと
でした。
最後まで残る不安要因とは
この調査結果からは、「起業を考えている人が感じている不安の多くは、解消が可能である」という事が読み取れます。
データだけで個々の回答者の事情までは解りませんが、「起業計画の検討を進め、予想されるリスクについての分析・対策を行った人達」は、「(多くの点については)リスクとして恐れる必要はない」と考えるようになったと推測されます。
その一方、事業を行う以上、失敗するリスクがある事は間違いありません。そして、失敗した場合に、起業資金の一部を失う事は避けられません。ですから、この点をリスクとして挙げる人の割合は変化していないのでしょう。
ただし、「資金を失うリスク」を挙げる人の割合が減っていないにも関わらず、「借金・個人保証を抱える」「家族に迷惑をかける」といった点をリスクとして挙げる人の割合が減っている事には注意して頂きたいと思います。
これは、起業に失敗した場合でも、「失うのは一定のお金だけにとどめることが出来る」という確信が持てるようになった人達が、「その他のリスクは回避する事が出来る」と考えるようになった為だと推測できます。
残った不安にどう対応すれば良いのか
起業のリスクをゼロにする事は出来ません。しかし、ここまで見てきたように、起業を具体化していく事で、本当にリスクとして認識しなければならない対象を絞る事は出来るようになります。
そして、明確になったリスクに対しては、「リスクを軽減させる為の対策」を講じる事が出来ます。
ですから、起業する事に不安を感じている人は、絶対にそのまま悩み続けないようにして下さい。今、貴方に必要なのは、その不安を解消する為の努力を始める事です。
しかし、貴方が起業に不安を感じているのは、「起業の事が良く解らないから」である場合も多いでしょう。その場合、「不安を解消する為の努力」の始め方も良く解らないかもしれません。
もし、そうなのであれば、今すぐ、起業の専門家に連絡をしてみて下さい。
貴方が起業について考えている事を伝えれば、起業の専門家であれば、貴方が知りたい「貴方が起業した場合のリスク」や「そのリスクを軽減させられる可能性」について解説してくれる事でしょう。
起業するかどうかを判断するのは、その後でも遅くはありません。
繰り返しますが、「漠然とした不安で、起業について悩んでいる状態」や「解消できるはずのリスクを不安に感じている状態」のままでいる事は、非常に勿体ない事です。起業に詳しくない貴方は、ぜひ、その一歩を踏み出すようにして下さい(当社でも相談を承っています)。
起業に関する不安の正体と対策方法(まとめ)
- 起業に踏み切れない人が感じている不安は、漠然としたものである事が多いようです。しかし、起業を予定している人の多くは、失敗した時の4つのリスクを恐れている事が解っています。
- 4つのリスクとは、「事業に投下した資金を失うこと」「借金や個人保証を抱えること」「安定した収入を失うこと」「家族に迷惑をかけること」です。
- しかし、起業が具体的になるにつれ、それらの点をリスクとして考える人の割合が減少する事も解っています。ですから、漠然とした不安を感じたまま起業について思い悩むのではなく、自分が感じている不安の中身を明らかにする事が大切です。
- そして、リスクを回避する為の対策についても検討するべきです。起業するかどうかの決断は、その後でも遅くはありません。
- 起業のリスク対策については、専門家に相談する事も可能です。